コツコツドカンとは
少額での利益を積み重ねていく(コツコツ)ものの、
ある日大きな損失をだす(ドカン)ことを指します。
このコツコツドカンが、マーケットで大負けしてしまう大きな原因となっていますので
発生のメカニズムと防ぎ方を以下で解説していきます。
コツコツドカンの原因と防ぐ方法

コツコツドカンに陥っている方はどちらかに当てはまるはずです。
自分のケースがどちらかを確認してみましょう。
①勝率が高くて、利益が少ない。
②勝率が低く、利益も少ない。
そもそも勝率を把握されていない方もいらっしゃると思います。
大丈夫です!これから少しづつ進んでいきましょう。
まず勝率の定義を確認しましょう。
勝率=利益がでた取引数÷全取引数
になります。
その上で、ご自身のトレードが①なのか②なのかを確認してみましょう。
なお、目指すべきところは以下の2つのタイプのトレーダーです。
勝率が高く、利益も多い。
勝率が低いが、利益は多い。(ポイントはこちらでも勝ち組トレーダーへ行けるということです!)
あなたのケースは①②のどちらだったでしょうか?
まず②の方からいきましょう。
こちらの方はリスク管理と共に
基本的な相場の原則(ダウ理論など)の本質的な理解が不十分な可能性があります。
まずはリスク管理をしっかり学んでから相場の勉強を始めましょう。
大丈夫です。これからコツコツとやっていけば十分身につきます。
さて次に①の方。勝率が高くて、利益が少ないかた。
→まさにコツコツドカン型です。。
今の所は自分がコツコツドカン型の投資をしてしまうタイプだと認識して頂ければ結構です。
以下できちんと解決策、改善策はお示ししていきますので安心して下さい。
なお、答えを言うと、
コツコツドカンを回避するのには数学(統計学)を使うことになります。
ただ、皆さんに統計学を勉強して下さいと言っているのではない点はご理解下さい。
簡単な算数です。
平均利益、平均損失を求めよう
まずは平均利益、平均損失を求めましょう。
平均利益=全トレードのうち、勝ちトレードの利益を合計し、勝ちトレード数で割ったもの。
平均損失=全トレードのうち、負けトレードの損失を合計し、負けトレード数で割ったもの。
になります。
文字だけだとわかりづらいので具体的な数字で確認してみましょう。
(トレード損益)
1回目 +50
2回目 +30
3回目 -10
4回目 +20
5回目 -60
6回目 +10
7回目 -40
8回目 +20
9回目 -50
10回目 +10
勝ちトレード回数 6回 合計利益額 140
負けトレード回数 4回 合計損失額 160
よってここで計算してみましょう。
平均利益=140÷6=23(端数切り捨て)
平均損失=160÷4=40
と出ました。
ここでは勝率は60%とまずまずだけれども、1回あたりの平均利益は少なく、損失は大きい、
要はコツコツドカンを再現してみました。
現状を知ることが何より大事です。
皆さんも自分の平均利益、平均損失を計算してみて下さい!
さて、ここまでで
勝ちトレードの回数が多くても
(つまり、勝率=勝ちトレード回数÷総トレード回数=6回÷10会=60%とある程度高くても)、
損失が大きくなってしまうケースのカラクリがわかったと思います。
そして平均利益と平均損失を求めましたね。
そこからもう一歩踏み込んでリスク管理の方法をさぐっていきましょう。
RR比率(リスクリワード比率)の求め方
平均利益÷平均損失
つまり平均利益と平均損失の比率をリスクリワード比率
(通常RRと書くことが多いです)と呼びます。
それでは早速上記の例で計算してみましょう。
RR=平均利益÷平均損失=23÷40=0.575 となります。
前回までで気づかれたと思いますが、勝率だけよくても利益は出せません。
また、RR比率が低くても利益が出せません。
よってどちらを改善していくべきなのか、またはいずれかを改善していくべきなのかを検討する必要があります。
仮に勝率が60%で、
トータルの利益がプラス(つまり合計利益額が合計損失額が上回る)になるのはどのような状態かを考えてみましょう。
式が複雑になるのでここでは割愛しますがRR=0.67となる時です。
つまり今より、一回あたりの利益を増やす必要があることが分かります。
勝率とRR比率の関係
勝率とRR比率の関係について述べてなかったので、その辺りを掘り下げていきます。
上で
「仮に勝率が60%で、
トータルの利益がプラス(つまり合計利益額が合計損失額が上回る)になるのはどのような状態かを考えてみましょう。
式が複雑になるのでここでは割愛しますがRR=0.67となる時です。 」
と記載しました。
これがどのような考えのもとで計算されているのか?
ということです。
期待値という考え方の導入
まず期待値という考え方を導入しましょう。
簡単にいうと①「得られる値」を②「確率」によって重み付けした数値ということになります。(以下では①は「得られる値」、②は「確率」を表しています。)
簡単な例を出します。
サイコロで1から4の目が出たらそれぞれ20円、5からの6の目が出た場合にはマイナス30円とします。
この時1から4の目がでる確率は4÷6です。そして得られる値はいずれも20円。
一方で5から6の目がでる確率は2÷6です。そして得られる値はいずれもマイナス30円。
この時の期待値=①20 × ②(4÷6) + ①(-30) × ②(2÷6) =3.3となります。
トレードで期待値の考え方を導入する
ではトレードで期待値を導入してみましょう。
すると
得られる値は平均利益、平均損失、確率はそれぞれ勝率、負け率(=1-勝率)となります。
そして
期待値=①平均利益× ②勝率 + ( -①平均損失)×負け率
となります。
(注意)
平均損失の値はプラスで計算しますが(上記の例なら40)、得られる値としてはマイナスですよね。
よって平均損失の前にマイナスをつけます。
これがプラスになることではじめてトレード全体の損益がプラスになります。
よって
①平均利益× ②勝率 + (-①平均損失)×負け率>0 の場合の条件を考えます。
式を変形しましょう。
以下では①②は外しますね。
(-平均損失)×負け率を右辺へ移項します
平均利益× 勝率>平均損失×負け率
両辺を平均損失で割ります
平均利益÷平均損失× 勝率>負け率
両辺を勝率で割ります
平均利益÷平均損失>負け率÷勝率
ここまできたら見えてきましたね。
そう。
平均利益÷平均損失とはRR比率のことです。
一方、負け率は(1-勝率)ですので
最終的には以下の関係式が得られます。
RR比率>(1-勝率)÷ 勝率
これが
トレード全体損益をプラスにするため
つまり
勝つため
のRR比率と勝率の関係です。
リスク管理をする上ではとても大事なので覚えておきましょう^_^
ちなみにこの不等式に
勝率60%を代入してみましょう。
RR比率>(1-60%) ÷60%
%は比率ですので100%=1 60%=0.6となります。これを踏まえて計算すると
RR比率>0.4÷0.6
RR比率>0.666666….
となります。
0.666666….より大きい値が条件式ですので
0.67
となります。
これで求まりましたね。
このようにして
- 自分のトレードの期待値がプラスになっているか、
- なっているならどれくらいか、
- 改善するにはどこを改善するのか
などを定期的に考えることで適切なリスク管理ができるようになります。
なお、参考までに勝率とRRの関係を挙げておきましょう。
勝率 | 10% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% | 60% | 70% | 80% | 90% |
RR比率 | 9.00 | 4.00 | 2.33 | 1.50 | 1.22 | 1.00 | 0.81 | 0.67 | 0.43 | 0.25 | 0.11 |
これは、仮に
勝率が30%だったら利益を出す為にはRRは2.33以上が必要
RR比率が0.43だったら勝率は70%以上が必要ということを示しています。
まとめ 安定して継続的に利益を出していくために
まとめると
利益を安定して継続的に産み出していくためには、
1.まず自分のトレードの確率とRRを知る
2.どこを改善していけば良いかを考える(それは勝率かもしれませんし、RRかもしれません。あなたのケース次第で変わってきます)
3.その為にはどのような行動をしていけば良いかを考える。
(勝率が高くて、利益が少ない①のコツコツドカン型の方は、
必然的にRRを意識して、損失を減らして利益を伸ばす戦略を取ることになります)
その為の戦略として、「損小利大」を常に頭に置いておくことです。
損切り(ロスカット)は早めに、
利益はできるだけ伸ばすということです。
その為の具体的戦略として
トレンドに一旦のったら、早めに利確をしない為のトレーリングストップや、
ロスカットラインを買い(売り)注文したときから、売り(買い)での逆指値注文を置いておくことが考えられます。
と同時にメンタル面も鍛える必要があります。
ロスカットラインに逆指値を置いていても、
いざその金額に近づくと金額変更してしまうと意味がないですよね。
そして(未実現の)損失状態となったらそれが利益に反転するのを待つようになります。
その結果、ズルズルと損失が拡がってしまいます。
ここに勝率が高くても、利益が伸ばせない原因が眠っています。
本日は以上です。
お読み頂きありがとうございました! それでは!
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